なぜミャンマーへ、大変そう、どんなところか想像つかない、危険そう、、、。
そんな事うんざりするほど聞かれた。

そこにも暮らしている人がいて、フツウにご飯を食べて、フツウに恋してる。
人間の営みなんて最終的に世界中皆一緒。
雨ツユしのげて、ご飯が食べれて、誰かが側にいてくれればそれでいいのかもしれない。
私はそう思ってきたのだけれど違う人もいるらしい。
いや、かくゆう私もいまだに一つの「ご招待」を受けずにいる。

ニューバガンのエーヤワディ川の近く、それなりの観光地らしきパヤーの下に集落がある。
そこにはニェインニェインという友達一家が住んでいるのだが、
「今度はここで泊まりなさい」
と何度言われたことだろう。
何度となく食事の招待は受けてきたが泊まったことはないのだ。
今まで電気もガスも水道もない村の家に泊まったことも数しれず、蟻だらけのモネストリーにも滞在した。
クアラルンプールのバスターミナルで、シャルルドゴール空港の待合室で平気で一夜を明かしてきた。
 
しかし、その川のほとりの集落の友人宅には泊まる気がしない。
正直、怖いのだ。
竹かなにかを編んでできたような家。
雨季の大水に備えて高床になっているが、その床から地面をみる事が出来る。
床下を地鶏がヒナをつれてコッコッコッコと歩き回る様がみえる。
「床、抜けないかな、抜けないかな、、」
食事中そんなことが心配になる。
彼女達はタイヘン華奢だが、私のがっしりした図体が動くたびミシミシと家が鳴く。

「今ここには何人住んでいるの」
「えーと、モンモンは結婚したでしょ、だからお父さん、お母さん、私、妹の四人」


彼らは大家族だが現在住んでいるのは、その半分ぐらいになったらしい。
数年前は五人だったのだから、若干生活レベルが向上したかもしれない。
皆、例によって熱いお茶をすすりながら私を覗き込む。
他のアジアの国ではお茶に砂糖を入れたりするが、ありがたいことにプレーンティーだ。

「だから、、ザジゴンここに泊まりなさいよ」

お母さんが寝るポーズをとる。
娘達も同じくニッコリ。 こんな時、西洋人は泊まりたくない旨を、
「相手側のマイナス要素」
を挙げ連ねて、ディベートでもするかの勢いで断るのだろう。
私、ザジゴンも普段は、
「ビジネスライクで白黒はっきり、主義主張が強い」
と恐れられるものの、やはり日本人である。
「井戸がないってことは、水は裏の川からか。シャワーは当然川だろう、トイレは?」

私の頭の中にベトナム、メコンで見た光景が広がる。
しゃがんで用をたす人、歯をみがく人、食器を洗う人、石鹸の泡ごと飛び込む子供たち。
「ここの人々の笑顔はなんてステキなんだろう」
と思ったものの、そこで暮らしたいかと問われれば「NO」である。

(第二項へ続く)
  

written by ザジゴン
 

 
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