Requiem 4 マンダレー行きのバスで、1

私の旅は、いつも行き当たりばったり。
すべての出会いが風まかせ。

そんな風まかせが出会ったのがのっぽ194cm、金髪に青い目のスイス系イタリア人。
北イタリア人の彼は完璧ヨーロピアン鉄壁の守り。
すべての行動に動機付けが必要。

ミャンマーを旅する動機も立派なもの。

「トラディショナルメーキャップ;タナカの原料、ルーツを探りたい」

長距離バスの休憩時間に彼のプレゼンが始まった。

「どう?一人でガイドを雇うよりも二人の方が割安だし、キミもガイドブックに載っていないような所へ行ける」

あまりの芝居がかった節回しにふきだした。

「えー?男の人と、しかもバスで出会った外国人と旅するものですか?」
 
そんな下世話な心配をよそに彼と旅をする事よって女性がたった一人で旅するリスクを6割ほど回避することができたと思う。
まずそれだけデカイ男と一緒にいると誰も寄ってこない、物売りも、押し売りも、客引きも、気持ちの悪い人も。
また二人で折半なので経費が安く済む。
そして相談する相手がいることで、問題に直面したときに一人で抱え込まなくてよい。

実際彼のプレゼンを聞いたとき、

「ふぅん、おもしろそう、いいガイドが見つかるといいね。」
 
私の言葉はそれだけだった。
旅の目的が「自分探し」と平気でのたまうバカ男が多いなかで、

「タナカのルーツを探しにいく」と延々と語る彼はちょうどよい暇つぶしになった。

そうやって私達二人は旅することになったのだがガイドに対しての要求は高かった。
ただ英語がしゃべれるだけではダメ。

よこしまな心(儲けよう、からかってやろう、手柄をたてよう)などがないこと。
私達の目的にただついてくるだけでなく一緒に楽しむ知的好奇心の強い人であること。

そういった点で合意すると私達はストリートインタビュー(路上面接)を行い、誠実で英語が上手、プラス品の良いミャンマー人男性をガイドとして雇ったのだ。
 

written by ザジゴン
 

 
 
ミャンマー徒然に
アジアの黄昏
 
TOP
 
HOME