彼女は私と同じ年の生まれで誕生日も二日違いだった。
ヤンゴンの美しいランドマークであるシュエダゴンパコダは
自分の生まれた曜日ごとにお参りするのだが、
私は自分が何曜日に生まれたかなんて知らなかった。
「え、誕生日24日でしょ、私が26日の金曜日だからザジゴンは水曜日よ」
私達はあの大きいパヤーを参拝しながら、そんなことに喜び、きゃっきゃっ声をあげた。
ちなみに水曜日は仏陀の生まれた日、こまかく言うと午前と午後も関係してくるという。

彼女の家はヤンゴンのチャイナタウンjettyの近くだった。
コロニアル様式のダウンタウン、お向かいさんもお隣さんも中華系。
ミニスカートから白くてニョッキリ長い足をだし、
サンダルばきで闊歩する女の子をみていると
香港かシンガポールにいるような気分になる。

一家も中華系でアメリカ、カナダ、日本へ兄弟が移住している。
世界にひろがった家族は外の文化を吸収しながらも、
あくまで中華系という民族の誇りを持ち、故郷の一族に送金し続ける。
 

まだ学生の彼女も閉鎖中の大学のことと
自分の将来のこととなると憂鬱そうだった。
大学の授業はいつ再開されるかわからない。
何年待ってもどうなるのかまったくわからない。
このままここにいてもいいものか?
道行く人をながめながら私達のおしゃべりは続く。

「いつ卒業するかですって?いつ始まるかもわかんないのよ」
彼女が語気強くそう言い放ったとき旅行者の知らない
この国の現実を垣間見た気がした。


キムタクってかっこいいよね。」彼女のらしくない言葉に驚いた。
実は日本大好き、日本文化大好きってやつだった。
日本の芸能界の情報もびっくりするほどよく知っている。
「いやだ、なにそれ。キムタクとか言っちゃうわけ?」
「なによ、カッコイイじゃない」
美人で優秀な彼女のフツウの女の子な瞬間。

(次回へ続く)

written by ザジゴン
 

 
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