Requiem 3 「おひさまの国」

ドンムアン空港で彼女は大きいギターをしょっていた。
とても背が小さいから、
そのハードケースが余計大きく感じられた。

カオサンまで行きますよね?
ええ、じゃあ、ご一緒させていただきます。

私、ブッダガヤに行くんですよ。
サールナートとか聞いたことあるけれど北の方ですか?

そう。
ミャンマーですか?
いいところですよ。
え、、どんなところでした?
そうね、みんなニコニコおひさまの国って感じ。
   
そんなこと言う人、超カッコイイ!!
私は初めてのミャンマー行きで多少不安があったのだが、
彼女のその言葉でなんだかワクワクしてきた。

長くて真っ黒い髪の毛、真っ黒い瞳、落ち着いた物腰、
なにより「おひさまの国」で彼女を大好きになった。

ねえ、、、自分の母親がね、
「この子をどうやって育てていいかわからない」って話すの聞いて、

私、すごいショックだったの。

人が旅をし続ける理由はさまざま。
 
その後、彼女は花を持って私の初めての個展にやってきた。

ねえ、みんなニコニコおひさまの国って感じだったでしょ!
そう言ってニッコリ笑うと、いつまでも私の写真を眺めていた。

それから7年がたった。
彼女は海外で生活を続け、私の二度目の個展に来ることはなかった。

会場を見渡しながら思い出す。
やはりここはおひさまの国なのでしょう、、、、、か。
 

written by ザジゴン
 

 
 
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